February 23, 2009

Gaebarを使ってみた


先日 App Gallery という GAE 上のサービスを始めてみました。サービスをやるからにはデータをバックアップしたいと思い、Gaebar を試してみたのでご紹介します。

なんと Gaebar の画面は django pony です!

Gaebar は Google App Engine Backup And Restore の略で、文字通り Google App Engine 用のバックアップ・リストアツールです。ゲイバーと読むそうです。この名前が良いですねw

Gaebar は Django のアプリケーションで簡単に使えます。GAE上で動く既存の Django アプリケーションにプラグインする事で、バックアップ・リストア機能を追加する事ができます。

残念ながら今は Django で動いているアプリケーションでしか使えませんが、少し頑張れば同じ事は別のフレームワークでも可能だと思います。

準備する

まずは Gaebar をダウンロードします。
Gaebar github から Download 機能を使ってアーカイブをダウンロードするか、下記のように git で clone しても良いです。

$ git clone git://github.com/aral/gaebar.git

またはあなたのプロジェクトが git を使っているなら下記のコマンドが良いかもしれません。

$ git submodule add git://github.com/aral/gaebar.git


方法はともあれ、プロジェクト直下に gaebar というディレクトリができていれば大丈夫です。

次に GAE の SDK にパッチを当てます。これは Gaebar がデータを python のファイルとしてダウンロードしてきてローカルのファイルシステムに保存するために必要なのです。方法が AralのBlog Entry に乗っていますが、この情報は少し古いので、SDK-1.1.9では下記のパッチを使ってください。

--- ../google_appengine/google/appengine/tools/dev_appserver.py.org 2009-02-26 11:33:33.000000000 +0900
+++ ../google_appengine/google/appengine/tools/dev_appserver.py 2009-02-20 17:04:46.000000000 +0900
@@ -1274,6 +1274,7 @@
allowed_symbols = self._WHITE_LIST_PARTIAL_MODULES[module.__name__]
for symbol in set(module.__dict__) - set(allowed_symbols):
if not (symbol.startswith('__') and symbol.endswith('__')):
+ module.__dict__['old_'+symbol] = module.__dict__[symbol]
del module.__dict__[symbol]

if module.__name__ in self._MODULE_OVERRIDES:


注意) app-engine-patch を使う場合は、settings.py で DJANGO_STYLE_MODEL_KIND = False にしないと動きませんでした。(少なくとも私は動かせませんでした。)動かせた方がいたら教えてください :-)

1. settings.py は下記のようにします。

INSTALLED_APPS = (
# Other apps...
'gaebar',
)


2. urls.py は下記のとおりです

urlpatterns = patterns('',

# ...other URLs

url(r'^gaebar/', include('gaebar.urls')),
)


3. app.yaml に static folder を追加します。

# Static: Gaebar
- url: /gaebar/static
static_dir: gaebar/static


4. index.yaml にインデックスを追加します。一回 dev server で Gaebar を動かせば自動で追加されます。

- kind: GaebarCodeShard
properties:
- name: backup
- name: created_at


5. Gaebar の設定を settings.py に追加します。

GAEBAR_LOCAL_URL: ローカル開発サーバの絶対 URL を書きます。
GAEBAR_SECRET_KEY: 秘密の文字列を記入します。誰にも秘密にしてください。
GAEBAR_SERVERS: dict でサーバーを列挙します。
GAEBAR_MODELS: tuple でバックアップするモデルを列挙します。

App Gallery で使用している設定のサンプルを下記に掲載します。

GAEBAR_LOCAL_URL = 'http://localhost:8000'
GAEBAR_SECRET_KEY = 'replace_with_your_secret_key'

GAEBAR_SERVERS = {
u'Deployment': u'http://app-gallery.appspot.com',
u'Staging': u'http://app-gallery-staging.appspot.com',
u'Local Test': u'http://localhost:8080',
}

GAEBAR_MODELS = (
(
'appgallery.models',
(u'Application', u'ThumbnailImage'),
),
(
'tags.models',
(u'Tag', u'TagApplication')
),
(
'favorites.models',
(u'Favorite',)
),
(
'ragendja.auth.custom_models',
(u'User',),
),
)


あと注意点がもう一つ。ローカル開発サーバーで django.contrib.csrf.middleware.CsrfMiddleware を使っているとバックアップがうまく行きませんでした。なので私はローカル開発サーバーでだけ CsrfMiddleware をオフにしています。

やった!これで Gaebar が使用できます。使う前に、Gaebar がどんな風に動くか説明しておきますね。

Gaebar は datastore のデータを Python code としてバックアップします。その Python code を実行する事でリストアします。バックアップは長くかかりますが、GAE はそれを許さないので、Gaebar は バックアップとリストアのプロセスを細切れにして ajax を使って繰り返し呼び出します。

デフォルトでは Gaebar は 5 つの Entity をバックアップし Python code に変換し、1MB の制限を回避するために 300KB くらいのコード断片として datastore に保存します。バックアップの過程では、このすぐ後に、コード断片をローカルサーバー側にダウンロードして保存する事になります。

もしあなたがもっと高い Quota を持っているなら、views.py をいじる事でこれらのデフォルト値を変えられます。

Gaebar を使う時は、十分にテストしてから使ってくださいね。万が一データが消失しても、私や Aral は責任を持てませんので。

使い方

A. リモートバックアップを取るには

1. Gaebar をあなたのアプリケーションと一緒に GAE にデプロイします

注意: デプロイする時に、gaebar/backups フォルダ内のバックアップデータも一緒にアップロードされる事を頭にいれておいてください。不必要ならバックアップデータは別の場所に移動した状態でデプロイすると良いでしょう。

2. 本番サーバで Gaebar にアクセスします。(例: http://myapp.appspot.com/gaebar/ )

3. Create New Backup ボタンをクリックします。

* バックアップをする時に、ローカル開発サーバーが動作している必要があります。

注意: reference error が発生した場合(存在しない Entity への ReferenceProperty)は、バックアップ時には無視されます。リストアすれば reference error は消滅します。

注意: 今までバックアップした一番大きなデータストアは 18995 行で 223 code 断片、35MB ありました。ローカル開発サーバーへのリストアは一晩中かかりました(ローカル開発サーバーの datastore は激遅なので)。もし記録を破ったら aral@aralbalkan.com に教えてあげてください :-)

注意2: バックアップ中の例外を詳しく見たい場合は、本番サーバーの settings.py で DEBUG_PROPAGATE_EXCEPTIONS = True と設定してください。


B. ローカルでリストアする

開発中に、リアル世界のデータを使ってテストするために、ローカルの開発サーバーにデータをリストアできます。

1. ローカル開発サーバの Gaebar ページに行きます。(例: http://localhost:8000/gaebar/ )
2. リストからリストアしたいバックアップデータを選びます。
3. 終わるまで待ちます。

tips: あらかじめ /var/tmp/ にある datastore の history ファイルのバックアップを取った方が良いです。

ローカルのデータストアは非常に遅いので、覚悟してください。

C. ステージング環境にリストアする

GAE にはバージョニング機能がありますが、datastore は別バージョン間でも共通です。ですからステージング用の別アプリを使用するのは良い考えでしょう。

本番とは別のアプリケーションスロットを用意して、そこにリストアしたいバックアップデータと一緒に Gaebar をデプロイします。後はローカル開発サーバーでのリストアと同じです。

D. 本番環境にリストアする

本番環境でトラブルがあった場合などは、バックアップからリストアできます。データストアのデータは上書きされるので注意してください。


実際に App Gallery でもバックアップ・リストアしてみましたが、完璧に動いています。Gaebar はかなり便利なのでみなさんも使ってみてはいかがでしょうか。

1 comment:

Unknown said...

自分もこのブログを参考にしながら、なんとかgaebarを使うところまではこぎ着けました。
もう解決済みとは思いますが「DJANGO_STYLE_MODEL_KIND = False」は、最新のgaebarでは動作するようになったようですよ。
丁寧な解説ありがとうございました。